理を以て気を御す

太極拳図解』には行動の規範として「理を以て気を御す。気を以て理を行う」ことを挙げている。これは実に重要なことである。「理」は後天、「気」は先天の意でもある。古典は、読むたびにこうした重要な言葉を見つけることができる。

太極と両儀

易には「「太極から両儀が生ずる」とある。つまり太極は渾沌と陰陽分化の中間に位置するものなのである。後天の世界では陰陽は完全に分化している。「太極」とは、先天の世界に先天の世界を見る、ということに他ならない。太極拳の含蓄の深さはこうしたところにも見られる。

田中桐江

田中桐江は柳沢吉保の家来で荻生徂徠の同僚である。この桐江の祖父が面白い剣術の修業をしていたらしい。「先祖物語」には、台所の大きな柱を力任せに木刀で打ちまくったという。初めは手がしびれるが慣れてくると、痛みも感じなくなる、とあるから凄まじい。これだけを何年も続けたとある。

印掌

印掌(印打)の名称が『少林拳法秘訣』の張松渓伝に出ている。それによれば張は印掌に長じており、打つと人は吹き飛んだ、とある。これは掌を立てて打つとしており八卦拳の印打の近いものを感じさせる。