源博雅

玄象なる名器を鬼に盗まれた博雅は、羅生門でその音色から鬼が玄象を弾いていることを知る。

そして、その音色を褒める。すると鬼は琵琶を返したという。

ここで鬼に「琵琶を返せ!」と言っていないところに妙がある。

無心の感動が共有されたのである。

無心の感動を忘れた博雅から琵琶は失われた〜琵琶の美しい音色が失われた。

それを取り戻せたのは、無心の感動を再び取り戻せたからである。

長い修業の間には、こうしたことはよくあることである。